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93 出世螺1
出世螺は江戸時代後期、桃山人の『絵本百物語』に次のような話があります。
「深山に住むホラガイが山に3千年、里に3千年、海に3千年住んだ後、龍に化身したものである」
また江戸時代、「池や洞窟など自然にできた穴を洞と呼ぶのは、螺が抜け出た跡であり、ホラガイが龍となった」と、山伏たちは「螺抜け伝説」を広めてまわりました。
当時の人々はその途方もない話を嘲笑し、このことから嘘をつくことを「ほらをふく」と言うようになりました。
これに反発した山伏たちは、螺抜け伝説を証明しようと、各地の洞窟で螺が抜けた貝殻を探索しました。
この出世螺。
探索の結果、そのカイはなかったといいます。
・カイ=甲斐=貝
・螺=貝
・桃山人(とうさんじん・1804~1844・戯作者)
・『絵本百物語』(1841年刊行・奇談集)




