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929 はらだし
はらだしという妖怪がおります。
これは秋田県出身の怪奇作家、佐藤有文の妖怪関連の書籍に登場するものです。
はらだしは夜中に現われ、酒をすすめると喜んで飲み、大きな顔に手足がついた姿で腹出し踊りを始め、その踊りを見た者は良いことがあるといわれました。
また別の説では、ぼろぼろの古寺に住み、一見すると普通の人間の姿ですが、様々なものに化けることができ、なかでも腹に顔を作ってみせ、出逢った者を脅かしたといいます。
その一方。
道に迷った者を寺に泊めるなど親切な面もあり、吹雪で迷った者を温かい御馳走でもてなすこともあったといいます。
脅かされるか。
御馳走でもてなされるか。
いずれにせよ出遭う前はハラハラでした。
・ハラハラ=腹腹
・佐藤有文(さとうありふみ・1939~1999・怪奇作家・オカルト研究者)




