92/919
92 柿の精
柿の精は民話の一種です。
これは宮城県栗原市に伝承があり、柿の精は老いた柿の木が化けたもので、熟した柿の実を採らずにほうっておくと現れたといいます。
その昔。
ある屋敷の庭に柿の古木がありました。
この屋敷で働く下働きの女は赤く熟れた柿の実を見て、何とか食べたいものだと思っていました。
ある日の夜中。
真っ赤な顔をした大男が女の前に現れました。
「だれ、あんた?」
「わしの尻をほじって、なめてみればわかる」
言われるがままに、女が指で男の尻をほじると種が出てきて、それは甘い柿の味がしました。
翌朝。
柿の実には指でえぐられたあとがあり、地面には柿の種が落ちていました。
この柿の精。
自分の正体のタネ明かしをしました。
・タネ=種=タネ明かし
・タネ明かし=裏の事情などを説明すること




