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904 舌出し岩
舌出し岩は柳田國男の『遠野物語拾遺』に次のような話があります。
天明年間の頃。
栃内部落に大蛇がいて、この大蛇は家畜や農作物を荒らしていた。
部落の人々がどうしたものかと途方にくれていると、そこに一人の和尚が現れた。
和尚は、「わたしが退治してあげよう」と言って、大きな樽に酒を造って、大蛇が来るのを待った。
その夜。
大蛇が酒の匂いにひかれて寄ってきて、大樽の酒を飲み初め、やがて酔い潰れて、寝息を立てて寝てしまった。
そして、そこを和尚が退治した。
その後。
退治された大蛇の頭は岩に変わって「舌出し岩」と呼ばれ、今でも大きな口から舌を出しているという。
この舌出岩。
酒を飲んでベロベロに酔ったのでした。
・ベロベロ=舌
・天明年間=1781年~1789年
・柳田國男(やなぎだくにお・1875~1962・民俗学者、官僚)
・『遠野物語拾遺』(遠野郷に古くより伝えられる習俗や伝説、怪異譚)