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903 蛇女
蛇女という妖怪がおります。
蛇女は江戸時代末期の絵巻物の『百妖図』に、その姿が描かれています。
顔は人間の女で、人間のように衣服をまとっていますが、胸のところは蛇腹になっていて、足には鱗があり、また着物のすそからは蛇の尾が出ています。
このように蛇に化身した女を蛇女と称し、かつて江戸の見世物小屋では、熊娘や鬼娘と並んで蛇女がいました。
これらの大方の蛇女は蛇の刺青をし、蛇を体に巻きつけていたのですが、そんな中には実際に鱗が生えていた女もいたといいます。
この蛇女。
服を着ていれば、人間の女と見分けがつきませんでした。
見世物小屋に来た者が問います。
「ほんとに蛇女か?」
「そうジャジョ」
・そうジャジョ=そうじゃよ=そうジャジョ
・『百妖図』(詳細不明)