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902 覚
覚という妖怪がおります。
日本各地で人の心を見透かす妖怪として伝えられているほか、江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『今昔画図続百鬼』に描かれていて、それには次のような説明がされています。
「よく人の言をなし、よく人の意を察す。あへて人の害をなさず。人これを殺さんとすれば、まずその意をさとりて逃げ去るという」
この覚は山中で人間の前に現れ、相手の心の中を読んで「お前は恐いと思ったな」などと、次々に考えを言い当てました。
このとき斧でマキ割りをしていて、割れた木切れが偶然はねて覚にぶつかると、覚はびっくりして逃げ去ったといいます。
この覚。
ヨキせぬ斧に驚いたのでした。。
・ヨキ=斧=予期
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『今昔画図続百鬼』(こんじゃくがずぞくひゃっき)