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899 アフンラサンペ
アフンラサンペという妖怪がおります。
アフンラサンはアイヌの言葉で「あの世に棲む化け物」という意味で、これはフクロウの化け物だといわれています。
アイヌ文化研究家、更科源蔵の『アイヌ民話集』に次のような話があります。
その昔。
ひどい飢饉の年がありました。
そこでアフンラサンペとハシブトガラスが鳥の代表として、食べ物を司る天の神様のもとへお願いに行くことになりました。
ところがアフンラサンペは鳴きわめいてばかり、ハシブトガラスは居眠りばかりで、仲間の期待を裏切ってしまいました。
それ以来。
アフンラサンペは昼間は隠れて暮らすようになったといいます。
アフンラサンペとハシブトガラス。
トリアワセが悪かったのです。
・トリアワセ=鳥遭わせ=取り合わせ
・更科源蔵(さらしなげんぞう・1904~1985・詩人・アイヌ文化研究家)