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896 鶴殺し田
鶴殺し田は『北安曇郡郷土誌稿』に次のような話があります。
長野県北安曇郡松川村の板取という所に、「鶴田」あるいは「鶴殺し田」という2反歩ほど田がある。
あるとき、この田に2羽の鶴が舞い降りた。
それを見つけたある者が2羽にこっそり近づき、1羽は射止め、もう一羽は取り逃してしまった。
鶴は禁鳥であったので、その者は犯行を隠すため鉄砲を古宮木戸に隠した。
しかし、着物に鶴の血痕がついていたことから、その者は奉行所に連れていかれた。
今でもこの田で米を作ると、耕作者に災いがあるというので、誰もがそこで米を作ることを忌み嫌っているという。
この鶴殺し田。
1羽は射止め、1羽はトリニガシてしまいました。
・トリニガシ=取り逃し=鳥逃し
・一反歩=約1000平方メートル
・禁鳥=無断の捕獲が禁止された鳥
・『北安曇郡郷土誌稿』(きたあずみぐんきょうどしこう・信濃教育会北安曇部会編・1979年刊)