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894 大鯰1
大鯰という妖怪がおります。
古くは『日本書紀』に記録があり、これは巨大なナマズで地中深くに棲み、身体を揺することで地震を起こしたとされています。
安土桃山時代。
豊臣秀吉が伏見城築城の折に家臣に宛てた書状には、「ナマズによる地震にも耐える丈夫な城を建てるように」という指示が見られ、この時点ですでにナマズと地震の関連性がうかがわれます。
ちなみに地震を起こすのは、古くは日本列島の下に横たわる龍、あるいは日本列島を取り囲む地震虫だとされていたのですが、江戸時代の頃から大鯰が主流となり、安政の大地震の後には二百種を超える鯰絵が出まわったといいます。
この大鯰の予知。
ジシンがないときはおとなしくしていました。
・ジシン=自信=地震
・『日本書紀』=(奈良時代に成立した日本の歴史書)
・安政の大地震=江戸時代後期の安政年間(1850年代)に、日本各地で連発した大地震