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887 おばりよん
おばりよんという妖怪がおります。
新潟県三条市に伝承があり、これは夜道を歩いていると、「おばりよん、おばりよん」と叫びながら背中に飛び乗って頭をかじるとされ、そのため夜道を歩く者は頭に鉄の鍋をかぶっていたといいます。
ある晩。
男が家路を歩いていたところ、暗がりから「おばりよん」と声がしたので、男は鉄の鍋をかぶり、「おばれたかったら、おばれろ」と言い返しました。
すると何者かが背中に飛び乗りました。
男がそれを背負って帰ると、いつかしら何者かは消えていて、鉄の鍋が黄金になっていました。
男はたいそう喜びました。
翌朝。
男は鍋を見てがく然とします。
黄金がなぜか鉄の鍋に戻っていたのです。
「ナベだべ?」
・ナベ=鍋=なぜ