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881 安満岳の烏
安満岳の烏は松浦静山の『甲子夜話』に次のような話があります。
平戸に安満岳という山がある。
昔からの霊場で山上には神祠があり、また大きな寺も建っていて、裏山には番いの烏が棲んでいる。
2羽とも羽の下に白く円い斑紋がある。
他にも烏が棲んでいるが、この2羽は決してそれらと群れることはない。
またこの番いは毎年、雌雄1羽ずつしか産み育てない。
そして毎年、雛の成長を見届けると、父烏は安満岳を去っていく。
別れを惜しむかのような悲しげな声で鳴き、飛び去っていくのだが、その日は必ず10月20日である。
安満岳を去った父烏は黒髪山に移り棲むという。
この安満岳の父烏。
子育てヤスマンダケに疲れるのでした。
・ヤスマンダケ=安満岳=休まんだけ
・松浦静山(まつらせいざん・1760~1841・肥前平戸藩主)
・『甲子夜話』(かっしやわ・随筆)