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88 蓑草鞋
蓑草鞋という妖怪がおります。
江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『百器徒然袋』にあり、雪が積もった竹林の中、蓑が胴体、草鞋が足となったものが、鍬をかついだ姿で描かれています。
古来、蓑には呪力があるとされ、また草鞋も妖怪を避けるためによく呪物として使用され、蓑も草鞋も付喪神になりやすいと考えられていました。
この日。
蓑草鞋は村はずれで、大好きな雪駄ちゃんに出合いました。
雪駄ちゃんはかわいい女の子の付喪神です。
「セッタちゃーん」
蓑草鞋は着ている蓑を脱ぎ捨て、雪駄ちゃんに飛びつきました。
バシッ!
雪駄ちゃんにおもいきり引っぱたかれました。
この蓑草鞋。
ミノほど知らずでした。
・ミノ=蓑=身の
・身のほど知らず=自分の身分や能力、身の程をわきまえずに出しゃばった行動をする者
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『百器徒然袋』(ひゃっきつれづれぶくろ)




