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877 タンガイ様
タンガイ様は神様の一種で、石川県七尾市能登島長崎町に次のような話が伝わっています。
名前のタンガイは『日本方言大辞典』によれば「田貝」のことで、特に「からすがい」を指す方言であるといいます。
その昔。
野崎の田んぼの中に八幡様が祀られてあり、そしてその田んぼには巨大な二枚貝がいて、その貝から出る水を目につけると眼病が治ったといいます。
それでほうぼうから、多くの者がこの貝を拾いに来ていました。
あるとき。
某家の婆さんが「食べた方がもっと効くやろう」と言って、この貝を焼いて食べたところ、目が見えなくなってしまったといいます。
このタンガイ様。
現在は八幡様も消え、そこへ行っても何のカイもないといいます。
・カイ=貝=甲斐
・『日本方言大辞典』(1989年刊・北海道から沖縄に至る全国の方言を網羅)