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873 クモゴン
クモゴンは伝説の一種です。
これは和歌山県に次のような話が伝わっています。
その昔。
熊野の楠本という村に大きな楠の木があり、村人たちは魂が宿った木として大切にしていました。
それがいつの頃からか、この楠の木に人間を喰らう巨大な蜘蛛が棲みつき、村人たちはこれをクモゴンと呼んで恐れました。
ある日。
坂上田村麻呂将軍が都から、大勢の兵士を引き連れて成敗にやってきました。
両者、なかなか決着がつきません。
日が暮れると勝ち目がないと考えた将軍は、夕日に向かって沈むのを待ってくれるよう祈りました。
すると太陽が動きを止め、その間に、将軍はクモゴンを倒すことができました。
このクモゴン。
将軍にクモなく成敗されました。
・クモなく=蜘蛛なく=苦もなく
・坂上田村麻呂(758~811・平安時代の公卿、武官)