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87 天狗火1
天狗火は怪火の一種で、愛知県春日井市に次のような話が伝わっています。
その昔。
一人の村人が山中で急な雷雨に見舞われ、身動きできずに木の下で震えていたところ、どこからか天狗火が現れました。
その天狗火で、村人は暖をとることができ、道に迷うことなく村まで帰ることができたといいます。
一方。
この天狗火に関しては別の伝承もあり、出遭ったときはこれを見ないようにして、立ち去るのを待つのがよいとされています。
ある男が天狗火に遭遇しました。
この男は豪胆でしたのでそっぽを向かず、正面から天狗火と向かい合いました。
すると天狗火がその男を捕まえ、山のかなたへと飛び去ったといいます。
この豪胆な男。
向こう見ずな男でした。
・向こう見ず=そっぽを向かず
・向こう見ず=将来のことを考えずに行動する




