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864 ヒョウスンボ1
ヒョウスンボという妖怪がおります。
宮崎県東臼杵郡美郷町に伝承があり、これは河童の類いのもので、春は山から川へ、秋は川から山へと空を飛んで移動したといいます。
雨模様の春秋の彼岸の夜。
ヒョウスンボたちはたくさんの群れをなして、「ヒョン、ヒョン」と、渡り鳥のような声を出しながら空を飛びました。
また昼間に飛ぶこともあり、この鳴き声が聞えてきたら、みんな畑仕事をやめて、ヒョウスンボたちが通り過ぎるのをじっと待ったといいます。
このとき。
通る道筋に家を建てると穴を空けられたといい、崖が崩れるような音を出して、人間を驚かすような悪戯もしたといわれています。
このヒョウスンボ。
空を飛ぶとはトンダ河童でした。
・トンダ=飛んだ=とんだ