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860 片足ピンザ
片足ピンザという妖怪がおります。
沖縄県宮古島に伝承があり、ピンザは宮古島の方言で「山羊」のことをいい、これはその名のとおり「一本足の山羊」の妖怪です。
宮古島では「ガングリユマタの片足ピンザ」という話がよく知られています。
ユマタとは「四辻」のことで、この妖怪がどこからともなく「ガングリ、ガングリ」という音を出しながら四辻に現れ、これに頭の上を飛び越えられた者は「魂を抜かれ死んでしまう」、あるいは「呪われる」といわれました。
ただし頭の上を飛び越えられる寸前、片足ピンザの足を掴めば、これらの災難から逃れられたといわれています。
足を掴まれた片足ピンザがぼやきます。
「一本、取られちまったな」
・一本、取られ=片足
・一本取られる=駆け引きなどで相手に負ける