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855 茄子を忌む熊
茄子を忌む熊は菅茶山の随筆『筆のすさび』に次のような話があります。
熊はなぜか茄子を忌み嫌うという。
それゆえ深山に住む人が薪を取りに行くときは、必ず茄子を携帯する。
熊に出遭ったとき茄子を見せると、熊は走って逃げるからだ。
熊からは熊胆をとるが、その熊の胆は、茄子が実る時分は小さく、茄子が実らない時分は大きい。
また、不意に茄子を見せて腰を抜かした熊を捕った場合、必ず胆が小さいそうである。
熊は馬も恐れる。
熊が苦手とする馬を狼が殺し、狼は熊に圧倒されるわけだが、ものの性質とは、どうしてこんな関係になるのだろうか。
この茄子を忌む熊。
ほかのものは大丈夫だといいます。
ナスなんだ?
・ナス=なす(茄子)=なぜ(何故)
・菅茶山(かんちゃざん・1748~1827・儒学者、漢詩人)
・『筆のすさび』(ふでのすさび・随筆)