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849 ヤザイモン蛸
ヤザイモン蛸という妖怪がおります。
これは巨大な怪蛸で、香川県に次のような話が伝わっています。
その昔。
大蛸が磯の岩の上で昼寝をしていました。
それを見た八左兵門という男が、大蛸が眠っていることをいいことに、1日に1本ずつ、すきをみて足を切り取って家に持ち帰っていました。
そして8日目。
大蛸の足は残り1本となっていました。
八左兵門が最後1本になった足を切ろうとすると、大蛸はその足で八左兵門をがんじがらめにして、海の底深くに引きずり込み、またそしらぬ顔で昼寝を始めました。
それ以来。
この大蛸は、ヤザイモン蛸と呼ばれるようになりました。
このヤザイモン蛸。
その後は満足して、岩の上で昼寝をしていたといいます。
・満足=足が8本