848/905
848 海御前
海御前という妖怪がおります。
福岡県の北九州市や宗像市に伝承があり、かつて壇ノ浦の戦いで敗れた平家が海に身を投げた際、平教経の奥方あるいは母親が大積海岸に流れ着いたのち、河童に化身したものだといわれています。
ちなみにこのとき女官たちは河童に、武将たちは平家蟹に化身したといいます。
海御前はこの地の河童たちを支配し、5月の節句になると一族を集めて、源氏に縁のある者を水中に引き込むよう命じました。
そして蕎麦の花が咲くと、その白い花を源氏の白旗と思って恐れ、花が咲いている間は棲み処に閉じこもっていたといわれています。
この海御前。
源氏のソバから離れるように暮らしていたといいます。
・ソバ=蕎麦=傍
・平教経=1160年~1184年・平安時代末期の平家一門の武将