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830 アフィラーマジムン
アフィラーマジムンという妖怪がおります。
沖縄県に伝承があり、これは片脚のないアヒルの姿をしていたといわれています。
このアヒルは重病人の生霊が化けたもので、これに股をくぐられた者は魂を奪われて死ぬといわれ、金城朝永著『琉球妖怪変化種目』に次のような記述があります。
「ある夜。
農夫が怪しいアヒルに遭った。
アヒルはしきりに農夫の股をくぐろうとする。
くぐられては一大事だと重い石を打ちつけると、アヒルは無数の蛍に姿を変えた。
その蛍はしばらく農夫の周囲を飛びまわっていたが、やがて鶏の声が聞えると消え去った」
このアフィラーマジムン。
鶏の声を聞くと、昼になったのだと思って消えたといいます。
ア、ヒルだ!
・ア、ヒルだ=アヒルだ=あっ、昼だ
・金城朝永(きんじょうちょうえい・1902~1955・沖縄研究者)
・『琉球妖怪変化種目』(詳細不明)