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823 モグラの化け物
モグラの化け物は昔話の一種で、熊本県人吉市の鹿目町に次のような話が伝わっています。
その昔。
肥後国の上永野村と下永野村はモグラを祀り、人身御供として、毎年子供を一人、モグラの化け物に捧げていました。
あるとき。
剣豪、宮本武蔵がこの村を通りかかったおり、老夫婦の泣いている声を聞きました。
武蔵がこの夫婦に訳を聞くと、「今日、娘をモグラの生贄として、観音堂に差し出さなければならない」と言います。
武蔵は娘の代わりに藁人形を作り、観音堂で待っていると、モグラの化け物が現れたので、それを打ち倒したといいます。
このモグラの化け物。
このときワラワラと悔しがったといいます。
・ワラワラ=藁=わらわら(破れ乱れたさま)
・宮本武蔵=(みやもとむさし・1584年頃〜1645年・剣術家)