821/903
821 ウブ
ウブは死霊の一種です。
これは死んだ妊婦の妖怪「産女」から転じたものだといわれ、新潟県の佐渡島に次のような話が伝わっています。
闇の夜。
堕胎あるいは間引きされ、山に捨てられた赤子の死霊が大きな蜘蛛となって現れ、赤子のように泣きながら追ってきました。
このとき「おまえの母親はこれだ!」と叫び、片方の草履をぬいで肩越しに投げると、災難を逃れられました。
これは草履のひもを通す部分の乳が、母親の乳に通じるためだといいます。
またこれは一人では、生まれた家に帰る道がわからず、履物の力を借りて帰ろうとするためだともいわれています。
このウブ。
ヤミクモになって人の命を奪いました。
・ヤミクモ=蜘蛛=闇雲
・やみくもに=むやみやたらに