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806 雪婆1
雪婆という妖怪がおります。
愛媛県北宇和郡松野町に伝承があり、雪の降る日に現れる一本足の老婆とされ、雪の上に一本足の足跡を残すといわれています。
また雪婆は子供をさらっていくともいわれ、雪の降る日、子供たちは外に出ないようにしました。
明治時代の妖怪絵巻『ばけもの絵巻』には次のような話があります。
その昔。
某男が雪の降る道を歩いていると、自分を呼びとめる女の声が聞こえ、振り向くとそこには一本足の雪婆が立っていました。
雪婆が髪を振り乱して近づいてきます。
男は家まで逃げ帰ると厠の中に隠れました。
ところが雪婆は厠までやってきて、ついに男は追いつめられてしまいました。
雪隠詰めです。
・雪隠=雪婆=厠
・雪隠詰め= 逃げ場のない所へ追い詰める
・『ばけもの絵巻』(作者不詳・明治時代の妖怪絵巻)