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803 アグドカジリ
アグドカジリという妖怪がおります。
名前のアグドは「踵」のことで、これは人間の踵にとり憑くといわれていますが、具体的なことが伝わっていないため詳細は不明です。
青森県八戸市に伝承があり、『青森県史民俗編』に次のような話が記されています。
その昔。
ある家の屋敷内の一画に、稲荷堂跡があったのですが、そこには2本の桧が立ち並び、また御堂下の道には藪がありました。
雨の降る晩。
1本の桧からアグドカジリが、もう1本の桧からはヌノバヒという妖怪が現れて、稲荷堂から藪のあたりを歩きまわりました。
ただ、このアグドカジリ。
雨が止むと決まって、踵を返して桧に駆け戻ったといいます。
・踵=踵
・踵を返す=引き返す