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797 大天婆
大天婆は怪猫で、宮城県気仙沼市に次のような話が伝わっています。
その昔。
気仙沼に熊谷儀八郎という男と、おさんという母親が住んでいました。
母親はあるときから急に粗暴になり、近所ではニワトリが盗まれる事件が起きるようになりました。
ある日。
この近くを通りかかった巡礼僧が、何者かに襲われたので刀で応戦すると、何者かは悲鳴を上げて逃げていきました。
その夜。
儀八郎の家では、母親が怪我をしたと大騒ぎになっていました。
僧が儀八郎に事情を話し、母親を切りつけところ大きな猫の化け物に変わりました。
猫の化け物は大天婆で、おさんを食い殺して母親になりすましていたのでした。
この大天婆。
ニワトリをネコババしていました。
・ネコババ=大天婆=ニワトリが盗まれる事件
・猫糞=落し物や預かったものを素知らぬ顔で自分のものにしてしまう




