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791 アリエ
アリエという妖怪がおります。
アリエはアマビコやアマビエの類いのもので、明治9年発刊の『甲府日日新聞』に次のような記事が載りました。
その記事の概略。
「肥後国青鳥郡の海に、夜になると鱗を光らせる妖怪が出現し、正体を探りに出た柴田という地元の士族に対し、アリエは自分は吉凶を見抜く術を持っていると語ったうえで、今年から6年間は豊年が続くが、6月からはコロリに似た病気が流行して、世の人々は六分どおり死に失せてしまう。しかし身共を図にして、それを朝な夕なに信心すれば難を避けられる、と告げて消えた」
コロリとはコレラのことです。
直後。
読者から多くの問い合わせが殺到したといいます。
「コレラはアリエるのか?」




