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772 槍毛長
槍毛長という妖怪がおります。
江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『百器徒然袋』にあり、この絵では虎隠良と禅釜尚と共に描かれおり、石燕はその解説文で、この毛槍は「日本無双の剛の者」が手にした槍であるとしています。
図画の槍毛長は木槌を振り上げているのですが、室町時代の『百鬼夜行絵巻』にも同様に、木槌を振り上げた妖怪が描かれてあり、石燕はこれを題材として描いたとされています。
それはそれとして……。
どちらの槍毛長も、名前の由来であるべく槍ではなく、なぜか木槌を手にしています。
この槍毛長。
何とか槍と名の付くものを持たせたいものです。
無理ヤリでも……。
・ヤリ=槍
・無理ヤリ=無理矢理
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『百器徒然袋』(ひゃっきつれづれぶくろ)
・『百鬼夜行絵巻』(日本の絵巻物で多数の作品が現存)




