771/917
771 麻桶の毛
・カミ=髪=神
・横井希純(よこいきじゅん・詳細不明)
・『阿州奇事雑話』(あしゅうきじざつわ・詳細不明)
麻桶の毛という妖怪がおります。
徳島県阿波三好郡加茂村に現れたとされ、これは妖怪というより、ほぼ神に近い存在だったといいます。
これは江戸時代後期、横井希純の『阿州奇事雑話』に次のような話が記されています。
ある晩。
近隣の村々を荒らしまわっていた山賊たちが、加茂村の彌都比売神社の祠に集まり、そこで盗んできた盗品の山分けをしていました。
するとこの神社の御神体で、麻桶に収められていた毛が長く伸びて麻桶のふたを突き上げ、うち一本の毛が山賊の人数分に裂けたかと思うと、たちどころに山賊たちを縛り上げました。
翌朝。
山賊たちは追手に捕えられたといいます。
この麻桶の毛。
ほぼカミの毛でした。