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765 孕のジャン
孕のジャンは怪異の一種です。
高知県浦戸湾に伝承があり、これは浦戸湾の孕という地名の海上で「ジャン」と音がして湾内がパッと明るくなり、それが湾内のあちこちに「ジャン、ジャン」と響きわたると、魚が獲れなくなったといわれています。
この現象は昭和に入ってからも続きました。
昭和20年代。
ある者が漁で夜釣りをしていたところ、急に魚たちが跳ね始め、月に照らされていた海面が真っ暗になりました。
その直後。
大きな波が押し寄せ、海底が昼間のように明るく輝き、それから「ジャン、ジャン」という音が響きわたり、それきり魚が1匹も獲れなくなったといいます。
この孕のジャン。
遭遇すると漁がおジャンになりました。
・おジャン=ジャン
・おジャンになる=物事が中途でだめになる




