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762 平四郎虫
平四郎虫は妖虫の一種で、山梨県西八代郡市川三郷町に次のような話が伝わっています。
その昔。
某村の金持ちの家の蔵から物が盗まれる事件が起き、その蔵の壁には小さな穴がひとつあったものの、どうやって中に入ったかは誰にもわかりませんでした。
そうしたなか平四郎という男が蔵の穴に頭を入れ、体を上手に滑り込ませてみせると、村人たちは平四郎を蔵破りの犯人と噂するようになりました。
やがて平四郎は役人に捕らえられ、無実の罪で首をはねられてしまいました。
それ以来。
奇妙な形をした虫が村中の畑に現れ、作物を次々と枯らしていきました。
この平四郎虫。
ひどい悪臭を放ち、その臭いを嗅いだ者は頭がクラクラしたといいます。




