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76 鉦五郎
鉦五郎という妖怪がおります。
これは江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『百器徒然袋』にあり、仏具で亀のような形をした打楽器、鰐口に手と足を生やした姿で描かれています。
その絵の解説文。
「金の鶏は淀屋辰五郎が家のたからなりし、此かねも鉦五郎と言へるからは金にてやありけん」
この文中の淀屋辰五郎は江戸時代中期の大阪の豪商で、金の鶏は彼の財産の象徴でもあります。
名前の「辰五郎」と「鉦五郎」。
財産の「金」と「鉦」。
それらの語呂あわせなどから、この鉦五郎という妖怪は石燕の創作だといわれています。
鉦五郎と辰五郎。
金と鉦。
かなり強引な語呂あわせであります。
ほんとカネ?
・カネ=金=鉦
・ほんとカネ?=ほんかね?=ほんと金?
・鰐口=仏堂の正面軒先に吊り下げられた仏具
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)




