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756 手洗鬼
手洗鬼という妖怪がおります。
江戸時代後期、桃山人の奇談集『絵本百物語』にあり、これには海をまたぐように山と山に両足をかけ、手を洗う巨人の姿が描かれています。
解説文には「四国辺の入海にて三里の山をまたぎ大海にて手を洗う」とあり、これによれば対岸にある二つの山に足をかけ、手を洗えるほど巨大な鬼ということになります。
挿絵中の文章では、その場所を香川県の高松から丸亀へ続く湾としており、これを現在の地図と比較すれば、手洗鬼は延長13キロある瀬戸大橋よりも大きかったということになります。
この手洗鬼。
幕末の頃、突如として悪事を働くことをやめました。
このとき足も洗ったのだといわれています。
・足を洗う=悪いことをやめる
・桃山人(とうさんじん・1804~1844・戯作者)
・『絵本百物語』(1841年刊行・奇談集)




