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751 濡れ女1
濡れ女は蛇の化身で、藤沢衛彦著『妖怪画談全集』に次のような話があります。
越後と会津の国境を流れる三国川の両岸に並ぶ柳の枝を採って、柳細工を作る若者たちがいました。
ある日。
若者たちが幾艘かの船に分乗して川へと漕ぎ出したのですが、そのうちの一艘が中州へと流され、その中洲の藪で髪を洗っている濡れ女を目撃しました。
その若者らの船は急いで引き返し、中洲に濡れ女がいたことを仲間の船に教え、中洲には近づかないよう忠告しました。
ところが濡れ女を一目見ようと、仲間の船は中洲へと向かいました。
そのあと。
中洲から幾度も叫び声が聞こえ、仲間の船が戻ってくることはありませんでした。
忠告がヤブヘビとなりました。
・ヤブヘビ=蛇の化身=中洲の藪
・薮蛇=余計なことをして状況を悪くする
・藤沢衛彦(ふじさわもりひこ・1885~1967・小説家、民俗学者)
・『妖怪画談全集』(昭和4年刊行)