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75 河女
河女という妖怪がおります。
人間の女の姿で美しい容姿をしていたといい、青森市浪岡に次のような話が伝わっています。
河女は水辺などに若い男がいると、そこへいつかしら現れるのですが、声をかけられて返事をした者はとり憑かれてしまったといいます。
ある夜。
若い男が水車小屋のそばを通りかかりました。
「こんばんは」
小屋の陰から女の声がします。
美しい女でした。
「やあ、こんばんは」
男はつい返事をしてしまいました。
その後、男は深夜になると、家を抜け出して女に会いに行くようになりました。
河女にとり憑かれてしまったのです。
男はしだいにやせ細っていき、哀れにも最後は皮だけとなりました。
カワ男になったのです。
・カワ=河=皮




