749/922
749 ペンタチコロオヤシ2
ペンタチコロオヤシという妖怪がおります。
アイヌに伝承があり、名称は「松明をかざすお化け」という意味で、この正体はワタリガラスだといわれています。
ある晩。
某村の者がコタンケシ村を訪ねる途中、ペンタチコロオヤシに遭遇し、このとき化け物の持つ松明で昼間のように明るかったといいます。
この話を聞いたコタンケシ村の村長は、夜になるのを待って、化け物の正体を暴こうと出かけました。
化け物が現れます。
村長は刀で応戦し、化け物を倒したまではよかったのですが、同時に自分も気を失ってしまいました。
翌朝。
村長が正気に戻ると、そこには化け物の死体どころか何もありませんでした。
このペンタチコロオヤシ。
烏有に帰すのでした。
・烏有=ワタリガラス
・烏有に帰す=烏ぞ有らんや=すっかりなくなる




