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742 囀り石
囀り石は群馬県吾妻郡中之条町にある四メートルほどの巨石で、名前の由来は、かつてこの石が言葉を発したという伝説によります。
その昔。
親の仇を探していた男が、旅の途中、この石を露しのぎの宿として寝ました。
夜中。
石が声を発し、親の仇のことを語り始めます。
男はこれは神仏の助けだと、石の声をもとに相手の居場所を探しあて、見事に仇をとりました。
その後もこの石が、人々の役に立つ言葉を発したことから、土地の者は「石の神」として大切に祀るようになりました。
ある日。
石の声を聞いた旅人が驚いて、持っていた大きな鋏で石を斬りつけました。
この囀り石。
これにはグーの音も出ませんでした。
・グー=石
・鋏=チョキ
・グーの音も出ない=声も出なくなるほど叩きのめされる