738/917
738 古戦場火
古戦場火は怪火の一種です。
多くの人間が死んだ戦場に鬼火となって現れ、ふわふわと宙をさまようのですが、それらは戦で命を落とした兵士や動物の怨霊だといわれています。
江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『今昔図画続百鬼』では、古戦場火は死者の血が滴った地面から発生するとされています。
怨霊が生者に害をなす話は多いものの、古戦場火は人に害を及ぼすことはなく、ただ宙を飛びまわるだけだといわれています。
ただときおり、その怪火とともに首のない兵士が現れ、自分の首を探してうろつき、そこで出遭った者がいれば「首を貸せ」と言ってきたといいます。
この古戦場火。
首のないことが、成仏するためのクビカセになっていました。
・クビカセ=首を貸せ
・クビカセ=足手まといになって自由を束縛するもの
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『今昔画図続百鬼』(こんじゃくがずぞくひゃっき)