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732 川猿1
川猿という妖怪がおります。
静岡県に伝承があり、これは川辺に棲んでいて、河童に近いものでしたが呼称は川に猿とされ、近づくと魚の臭いが漂ってきたといいます。
性格は臆病ですが、自分を助けてくれた人間の顔はずっと忘れなかったといいます。
その一方。
子供の姿となって人を化かすことがあるほか、馬は川猿に遭っただけで倒れて死んでしまうといわれ、馬の疫神として恐れられていました。
また人間から危害を加えられたときは、相手の体中の皮膚をかきむしって傷を負わせました。
この川猿の最大の弱点は股で、ここを攻撃されるとたちまち力が弱まって、戦意を喪失したといいます。
そして……。
川にサルといわれました。
・サル=去る=猿