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730 川赤子
川赤子という妖怪がおります。
これは川、沼、池など水辺に出没する赤ん坊姿の化け物だといわれています。
江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『今昔画図続百鬼』にあり、それには葦の茂みから上半身のみを出した姿が描かれてあり、図画にある解説文では河童の類いのものだとしています。
また水木しげるは、川赤子のことを次のように述べています。
「水辺で赤ん坊の泣き声をあげ、人が近づくと別の場所で泣き声をあげる。これを繰り返し、その者が過って水の中に落ちるところを見て喜ぶ妖怪」
これは溺死した赤ん坊の霊だともいわれ、水辺から出ると幽霊のように下半身がありませんでした。
この川赤子。
陸ではアシがありませんでした。
・アシ=葦=足
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『今昔画図続百鬼』(こんじゃくがずぞくひゃっき)




