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719 雨女
雨女という妖怪がおります。
江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『今昔百鬼拾遺』にあり、雨が降る中、長い髪をした幽霊のような女が舌を出して、手をなめているような姿が描かれています。
その解説文には雨の妖怪といった記述はなく、江戸時代の吉原遊郭を風刺したものだとされています。
また雨女は幼い我が子を神隠しで失った女で、雨の日に泣いている子供のもとに、大きな袋を担いで現れたといわれています。
多くの場合は「雨を呼ぶ迷惑な妖怪」ですが、一方では日照りや干ばつなどから人を助ける「雨を呼ぶありがたい神」になることもあり、そのときは髪が顔の前にかかっているといいます。
この雨女。
カミがかることもありました。
・カミがかる=髪が顔の前にかかる
・カミがかる=神がかる
・神がかる=常識では計り知れない、神霊の仕業かとも思われるような様子
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『今昔百鬼拾遺』(こんじゃくひゃっきしゅうい)




