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714 雪んぼ
雪んぼという妖怪がおります。
雪んぼは体が松ヤニと雪でできており、火の熱でとろけた乳をちぎり取って投げつけたといい、京都府京丹後市に次のような話が伝わっています。
大雪の夜。
美しい女が老夫婦の家を訪れました。
爺さんが囲炉裏のそばに連れていくと、やがて女の大きな乳は囲炉裏の火でとろけそうになり、それを見た爺さんは、女が雪んぼだと気づきました。
爺さんは「薪を取ってくる」、婆さんは「水汲みに行く」と言って庄屋の家に逃げ込み、その晩、二人は家には戻りませんでした。
翌朝。
家に雪んぼの姿はなく、囲炉裏のそばに松ヤニだけが残っていました。
この雪んぼ。
どこへ消えたか行方知れずになったといいます。
蒸発しました。
・蒸発=液体が気化。人が家を出て行方不明になる




