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704 コシンプ1
コシンプはアイヌ民話に伝わる精霊です。
動物が人間の異性に懸想して憑くことをいい、これは姿を現すときは絶世の美女となって現れたといいます。
アイヌの間では、人間の気が狂うのは他者に呪われたか妖魔が憑いたかであり、狂気に陥れるものがこのコシンプとされました。
これは人間に憑いて悪事を働くといい、これらに憑かれると何年かのうちに必ず死ぬといわれました。
一方。
男の憑き神になることがあり、そのときは善神として良い運命へと導いたといいます。
またコシンプに憑かれた女が良い声で「海へ来い、海へ来い」と誘い歌うことがあり、それは潮の響きのような良い声でしたが、その女は無表情で呆けたようだったといいます。
「ほうけ」
・ほうけ=呆け=ほうか