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701 幣六
幣六という妖怪がおります。
これは江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『百器徒然袋』にあり、毛むくじゃらな上半身は裸で、下は袴で、右手に御幣を持ち、上を向いて走っている姿で描かれています。
その解説文。
「花の都に社さだめず、荒ぶる心ましみ、神の騒ぎ出給ひしにやと」とありますが、その詳細は不明です。
室町時代の絵巻『百鬼夜行絵巻』には、御幣を持つ鬼のようなものが描かれており、石燕はこれに発想を得たといわれています。
水木しげるの解説。
「事触れの紙を振りかざし、ご神託と称してデマを流し、人々を混乱におとしいれる妖怪である」
これには、幣六。
ゴヘイがあると言っています。
・ゴヘイ=語弊=御幣
・語弊がある=言葉の使い方が適切でないために誤解を招きやすい言い方
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『百器徒然袋』(ひゃっきつれづれぶくろ)
・『百鬼夜行絵巻』(日本の絵巻物で多数の作品が現存)
・水木しげる(1922~2015・漫画家、妖怪研究家)