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700 以津真天
以津真天という妖怪がおります。
江戸時代中期、鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』に怪鳥が描かれており、その解説文に「広有、いつまでいつまでと鳴きし怪鳥を射し事、太平記に委し」とあることから、『太平記』に登場する怪鳥を描いたものだといわれています。
建武元年。
疫病の流行で死者が多く出たとき、毎晩のように怪鳥が現れ「いつまでも、いつまでも」と鳴いて人々を恐れさせ、この怪鳥を射落としたのが、弓の名手で広有という男でした。
怪鳥は頭が人間で体は蛇、くちばしには牙があり、両足の爪は剣のように鋭く、翼長は5メートル近くあり、広有が刀でとどめを射そうとしたところ空に飛び去ったといいます。
トリ逃がしました。
・トリ逃がし=鳥逃がし=取り逃がし
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『今昔画図続百鬼』(こんじゃくがずぞくひゃっき)
・『太平記』(作者不詳・室町時代成立の軍記物語)
・建武元年=1334年




