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697 平家蟹
平家蟹は亡霊の一種です。
これは甲羅の模様が苦悶に満ちた人の顔に似ていることから、壇ノ浦の戦いで敗れて海に散った平家の無念をなぞらえ、「平氏の亡霊が乗り移った」という伝説が生まれたといわれています。
大分県宇佐市では、この蟹を捕まえると祟りがあると恐れられ、網に入ると神社で供養をしたといいます。
また、ある歌人が平家蟹の噂を聞き、「なまじかに海鼠にならで平家蟹」と詠んだところ、夢枕に平家の亡霊が現れて責め始めました。
これに恐れおののいた歌人が、「海鼠にもならで流石は平家也」と詠み直したところ、亡霊はそれっきり現れなくなったといいます。
二人は仲直りをしたのです。
「カニンナ」
「ヘイケダヨ」