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695 共潜
共潜という妖怪がおります。
三重県鳥羽市や志摩市に伝承があり、共潜は海に潜った者に化けるため、海女は海の中でもう一人の自分を見ることになります。
遭遇するのは曇天の日で、共潜は海女たちの中に入り込み、自分も海女であるかのように振る舞うのですが、ほかの海女とちがって鉢巻きの尻尾が長く伸びていました。
共潜の正体は死んだ海女の亡霊といわれ、出遭った者にアワビを差し出し、この誘いに乗った海女は命を奪われました。
アワビがどうしても欲しいときは、後ろ手でもらえば大丈夫なのですが、それをやった海女が蚊帳のようなものを掛けられ、九死に一生を得たといいます。
この共潜。
モグリの海女でした。
・モグリ=潜り
・モグリ=ある集団の中に勝手に入り込み、その一員であるかのようなふりをしている人




