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689 つらら女
つらら女は氷柱の化身で、東北地方に次のような話が伝わっています。
ある日。
男が軒下のきれいな氷柱を見て、「この氷柱のような美しい嫁が欲しいものだ」とつぶやいたところ、そこへ髪に銀色の鉛のかんざしをつけた美しい女が現れました。
このあと女は男に求婚されて一緒に住み始めたものの、春になって暖かくなるとなぜか姿を消しました。
その後。
男は女に逃げられたものと思い、その年のうちに別の女と夫婦になりました。
晩秋。
男のもとへ、あの女が再び現れました。
男の裏切りを知った女は怒り狂い、鉛のかんざしで男の胸を刺して殺してしまいました。
このつらら女。
ナマリがひどかったといいます。
「アイスてたのに」
・ナマリ=鉛=訛り
・アイス=愛す=アイス(氷)




