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683 柳女
柳女は柳の木の怪異です。
柳が女に化身するのは、勇猛なイメージを持つ松に対し、柳の姿は優しいイメージを持っているからだといわれています。
江戸時代後期、桃山人の奇談集『絵本百物語』にあり、それには子供を抱いた女の姿が柳の木の下に描かれていて、その解説文に次のようなことが記されています。
風の強い日。
子供を抱いた女が柳の木の下を通ったところ、柳の枝が首に巻きついて死んでしまいました。
女の怨念は柳の木にとり憑き、その女の一念が柳の木に留まり、夜な夜な「口おしや、恨めしの柳や」と柳を恨んで泣きました。
その後。
柳の木の怪異だとして、この木を切る話が持ち上がりました。
柳女。
キがキじゃなかったといいます。
・キがキ=気が気=木が木
・気が気じゃない=ひどく気がかりである
・桃山人(とうさんじん・1804~1844・戯作者)
・『絵本百物語』(1841年刊行・奇談集)




