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679 どうもこうも
どうもこうもという妖怪がおります。
江戸時代のいくつかの妖怪絵巻に登場し、それには頭が二つある姿で描かれています。
その昔。
どうもとこうもという二人の医者がいました。
あるとき医術の技量の勝負をし、二人は自分の腕を切り落とし、それを上手につないでみせました。
勝負がつかず次の勝負をします。
今度は交代に互いの首を切り落とし、元どおりにつなぎ合わせました。
見物人らが集まるなか、二人は同時に首を切り落とし、同時につなぐという離れ業をやることにし、合図とともに互いの首を切り落としました。
その結果。
落ちた首をつなぐ者がなく、二人は同時に死んでしまったのでした。
この不覚。
二人とも合わせる顔がありませんでした。
・合わせる顔がない=首を切り落とし
・合わせる顔がない=面目なくてその人の前に出られない




